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愛すべき不毛な小説

森見登美彦氏、俗称モリミーの「太陽の塔」、「新釈 走れメロス 他四篇」を読了。カジュアルに京都を時に闊歩し時に暗躍する京大生の四畳半青春フォーク小説と云ってしまえばそれまでである。この時点で気に入らない人は少なからずいるだろうし無理に読む性質の本でもない。ただしこの四畳半青春フォーク小説は、さらに粋でポップでファンタジーな友情恋愛小説なのである。さらに興味を失った人も多いだろう。何処が読みどころなのかを熟考するに、ひとつは言葉選び。次にその自由奔放な展開にある。虚実を綯い交ぜにして勝手気ままに書き綴るその蛮行は目に余るが、小説であることを思い出し、すべてを水に流すことになる。流さざるを得ない。ついでに涙も流れるだろう。どちらかというと笑いで。

四季折々の京都で繰り広げられる不毛な、そして愛すべき話を読みたいのなら、黙ってモリミーを薦めよう。全く黙っていないところはどうか指摘しないでいただきたい。読まないわけにはいかない。などと押しつけがましいことは書かないが、読まずに死ねば後悔すること請け合いである。いや、読まなければ後悔することもないだろうが、もしまかり間違って読んでしまった場合、読了後に「危ない、読まずに死んだら後悔するところだった」と思うことだろう。思わなくても無理矢理に思っていただきたいところである。
ゴキブリキューブにまなみ号。天狗に学園祭に唾棄すべきよろずなこと。「日本人でよかった。」(©丸川珠代)と思えること必至である。

ところで「野性時代 Vol.41」において、「森見登美彦の歩き方」と題して特集が組まれているので、興味のある人は副読本としてご活用いただきたい。「夜は短し歩けよ乙女」の外伝も収録されているので是非。

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