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candylogue

May 2008July 2008

June 2008

狸と地獄

パピルス連載の森見登美彦「大文字納涼天狗合戦」を読了。とても短いテキストを読み落とさないように丹念に、でも急いで読む。私の場合、既に魔法に掛かっているので、すべての言い回しが珠玉のことばであり、うっとりする。早く単行本にならないかなあ。「阿呆の血のしからしむるところです......それに弁天様は可愛いもの」。

引き続いて、前田司郎の「大木家のたのしい旅行」を読む。なんかすごい。ホラーのようで、オカルトのようで、ミステリのようで、ナンセンスのようで、どれでもない不思議な小説になってる。バランスは中途半端なんだけど、中途半端さ加減が絶妙で、前田作品の中でいちばん好きかも知れない。いいなあ、これ。「便器には地獄文字でTOTOと書かれていた。すげえなTOTO。」

近況

とても計画通りに進んでいることとか、想像を越えて計画から離脱していく現実だったりが交錯して、それなりに疲弊していますが、まあそれはそれとして歩を進めている昨今です。

最早、観劇ブログと成り果てている当ブログですが、気が向いたことを書く、という趣旨からして、気が向いたことが差し当たってそのくらいしかない、と思っていただいて大きくは間違っていません。一応、会社勤めの身なので、仕事に関して思うことはありますが、仕事のことは基本的に書かないことにしているので、冒頭のような持って回ったことしか書けません。こんなの書いてもネガティブで面白くないので、書き直そうかと思ったけれど、面倒なのでそのまま進みます。

といっても特に書くことは思いつかないのですが、そうねえ・・・、アイフォーンことiPhoneについていろいろと考えを巡らせていて、思ったより月額費用が安かったねえ、でも電話じゃないよね、みたいなことだとか、CD買わない周期に入ってきたなあとか、でもスチャダラの「ライツカメラアクション」はいい曲だよね、あるいは次々と読みたい本が増えてきて途方に暮れていたり、予想を下回ると評判の副都心線を意味もなく使ってみたり、とそんな感じで毎日を過ごしています。あと演劇絡みだと、大好きな劇団宝船の先行が取れてよかったなあ、ナイロン100℃の先行も取れるといいなあ、ペガモ星人の襲来は予約のトラブルがあったけど、ちゃんと取れたらいいなあ、とかチケットの確保に奔走しています。全部ネット上で、ですが。

あすは久しぶりにタワレコに偵察に行こうかな、と思いつつ、これから「大文字納涼天狗合戦」を読もうと思います。みなさまもじめじめとした天気の下、体調など崩されないようご自愛されつつ、適度に楽しまれますように。

駅前劇場にてハイバイの新作公演を観る。いつもと違う、対面式の客席配置でやけに広い劇場に軽い感銘。こういうこともできるんだね、駅前。袖が無いので、役者の待機も丸見え。チェルフィッチュの「フリータイム」も役者の待機が舞台上で行われていたけど、あちらは待機中も演技が入っていたのに対して、こちらはあくまで出番待ちしていますよ的な印象を観客に与えるべく演出されていた。袖に無表情で待機する役者が出番が来るとそのまま舞台に上がり、出番が終わると袖に捌ける構成。こういう演出は面白いと思う(チェルフィッチュのもハイバイのも)。

今回の芝居は、家族を題材に祖母の死の前後の場面を、部屋の内と外という視点で2回繰り返して見せることで、(観客の)受け取り方が変化する構造を持っている。これも面白いのだけど、変化があまりはっきりしないところもあり、ちょっと難解なところがあった。180度がらりと変化してしまった方がわかりやすいと思うのだけど、それだと脚本としての整合が取れないのだろうか。あるいはそういうわかりやすさは狙っていないのかも知れない。まあしかし総じて面白くて楽しかった。シリアスと笑いのバランスも好み。鳥のフンのシーンとか、必然性が全くないと思うのだけど、そういう「地味な」仕掛けはハイバイっぽい。ごく簡単に言ってしまえばシュールなのだけど、好きだ。爆笑、というより、クスリ、という感じの笑いがあって、あ、終わった帰ろう。という感じの芝居がなんというか心地よい。僕の場合、面白い芝居と詰まらない芝居を観た後の表面的な違いはほとんど無い。

ハイバイ「て」 (駅前劇場)
作・演出:岩井秀人
出演:金子岳憲、永井若葉、岩井秀人/能島瑞穂、町田水城、平原テツ、吉田亮、高橋周平、折原アキラ、上田遥、猪股俊明、古舘寛治

meg

ただひたすらに眠い日々が続く。春眠暁を覚えずだとか五月病、あるいは台頭する六月病なんてものはなんなのだろうと考えるまでもなく過ぎ去ってしまった。というか六月病とかそういうのはただ理由付けて安全地帯に逃げ込んでいるだけなのではないのでしょうか、とか思ってしまうのはデリカシーがないのでしょうか。順風満帆だけの人生なんて無いのだから(第一、そんなの面白くない)、その時々のアクシデントをどう乗り越えていくかが大切なことであり、その人の生きる意味ではないのかなーとMEGの新譜を聴きながら思いつくままにお送りしております。どう乗り越えるかは人それぞれ、個人的にはうまく乗り越える必要なんてまったく無いと思うけれど、結果はどうであれ乗り越えようとする意思が美しいんじゃないかと思います。なんだか知らないけど、MEGと柚木隆一郎の新譜が2枚ずつ届いたので、返品しなくちゃ。MEGはジャンクでいいですね。冗談の冗談みたいな感じで。

散歩と観劇

午前中、安藤忠雄の渋谷駅を探索に行く。迷路っぽい。部分的にほーっと思うところもあるけど、もっと空間的に広いのかと思ったらそうでもなく。あ、中線塞いで使っているのは面白かったかな。東新宿から職安通りとかをてくてく歩いて、麺通団に寄りつつ、新宿郵便局で投函して、14時から駅前劇場で動物電気。肩が触れ合うどころか前後左右で触れ合う感じのぎゅうぎゅう感が駅前だなーと思う。芝居は相変わらず。新しさではなくて、よっ待ってました!的内容なんだろうな、ここは。楽しい。でもちょっと観る本数が多くなり過ぎてきたので、次回は考えるかも。というか来年もこんなに観ているのかしらん。

動物電気「すすめ!!観光バス」 (駅前劇場)
作・演出:政岡泰志
出演:小林健一、政岡泰志、姫野洋志、鬼頭真也、伊藤美穂、辻修、田中あつこ、森戸宏明、谷部聖子、森山夕子、松下幸史、國武綾/吉井憲一、二面由希、古家ウィリアム康、田島慶太、千葉綾、松下晃治

週録

8月のクロムモリブデンと双数姉妹とイデビアン・クルーのチケットを押さえて、厚揚げを梅肉と柚子胡椒でいただいて、「魔女がアタシを」を観て、来月のペンギンプルペイルパイルズのチケットを受け取って、「雨天炎天」を読んだりしていた一週間。来週もいい週になるといいな。今週がいい週だったのかはよくわからないけれど。

とりあえず、「熊を放つ」を読み始める。「熊を放つ」っていうと「熊を放つみたいなふうに動物園に行きたい、僕は」という言葉とともに少し骨張った山下清が頭をよぎるのは、もうどうしたって仕方のないことなんだと思う。

アフタースクール

歌舞伎町のジョイシネマにて「アフタースクール」を観る。こういう作品大好き。面白い。「キサラギ」もそうだったけど、2ch とかを覗いて答え合わせとかをしているのを見るのも楽しい。気づかなかった仕掛けを目ざとく見つけている人とか整合について批判する人とか、そういう平和な掛け合いをぼーっと眺める。個人的には、面白ければそれでいいじゃないですか的作品だと思うし、そのカテゴリにおいて出色の出来映えだと思う。

ほかの映画でもよくあることだけど、コンスタントに小劇場の役者が出ているのも、なんていうかニタっとしてしまう。僅かな登場時間で見分けがついてしまうあたりに重度だなあ、と思います。

映画「アフタースクール」
監督・脚本:内田けんじ
出演:大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人、田畑智子、常盤貴子、北見敏之、山本圭、伊武雅刀/ムロツヨシ、中山祐一朗、村岡希美、安澤千草、辻修 ほか

南下して北上

午前中に贈り物が届いたので、浮き浮きしながら身につけて出掛ける。

三軒茶屋で The Shampoo Hat 初観劇。真木よう子主演のテレビ版との比較でいうと、劇場版の方が長いということもあって、いくつかのエピソードが追加されていて膨らませようとしているのだけど、それらは本筋とはあまり関係ない感じではある。別に本筋と関係のないエピソードが不要ということでない。ただあんまり必然性はなかったかな、というところ。あと、タイトルになっている「ドライブ」のシーンがあまり強調されている訳でもなくて、それは演出なのかも知れないけど、もうちょっと描かれていてもいいかも知れないなーと思った。坂井真紀熱演。本当に良い役者になりましたな。って昔から追ってた訳ではないけど。ラスト手前の「メール」にまつわるシーンなんかとても良かった。

ところで相変わらずここのベンチみたいなシートは座りづらい。劇場自体は良いところなんだけど。その後、実家に移動して友だちとご飯。初めての場所ではないはずなのに連絡が入るたびにどんどん遠ざかっていく友だちをメールで遠隔操作したりしながらたらふく食べて帰宅。暑い。

The Shampoo Hat「立川ドライブ」 (シアタートラム)
作・演出:赤堀雅秋
出演:坂井真紀、萩原利映、野中隆光、日比大介、児玉貴志、多門勝、黒田大輔、滝沢恵、吉牟田眞奈、梨木智香、長尾長幸、赤堀雅秋

あしあと

肌寒いとか天気が悪いだとかいいつつも着実な夏の近接を感じる週末にmuxtapeを作ってみました。無難。

アイフォーン

これは個人的な考えなのだけど、というかこのサイトはおおむね個人的なことしか書いていないのだけど、iPhoneの話。

iPhoneの魅力は電話でも音楽再生でもなく、それ以外にあると思う。電話にしては使いづらい形状だし、タッチスクリーンでしか操作できない携帯音楽プレーヤが使いやすいとは思えない。実際、iPod touchは使いづらい。それよりもむしろ、Safariなどを媒介としたアプリにワイヤレスアクセスがついていることが何にも増して素晴らしい。iPod touchの無線LANだとどこでも、という訳にはいかないし、他のPDAやコンパクトなノートでは大仰でさっと取り出して使うには心理的な抵抗がある。そして何よりスマートでない。これは動機としてとても大きい。

そんなわけで僕としてのiPhoneの定義は、定額の高速ワイヤレスアクセス付きインターネットビューワ+入力機能+電話機能+音楽再生機能となる。+以降はおまけ扱い。こうなってくると購入判断のポイントは明確で、ひとつはモバイル環境でのビューワ性能。もうひとつはワイヤレスアクセス料金を含めた月額料金がいくらになるかということ。前者については、小さなスクリーンでの操作に最適化されたSafariを積んでいる時点でクリアしている。問題は後者で、いわゆるPCサイトビューワ的定額料金と同等とすると、総額で1万円を超えてしまいそうで、正直微妙である。端末価格よりも月額料金がいくらになるのかに注目したい。

ところで、いま一番期待していることは、来年から開始されるWiMAXやWILLCOM CORE。今よりも低額で高速なワイヤレスアクセスが着実に普及して、あらゆるモバイル機器で使用できるようになると、いろいろ変わると思うのだよね。ホントに変わると思う。プアなモバイルコンテンツはいずれ姿を潜め、リッチなコンテンツに移行していくはず。ちなみにリッチというのは無意味なアニメーションとかそういうのではなくて、目的のための必要十分な情報と視聴覚表現とアクセス性についてのこと。今のモバイルというのはネットにつながると言うだけで、必ずしも必要十分なインフラになっていない。それが解き放たれた時、もっとずっと楽しいことができるのではないかと思う。問題もきっとあるはずだけど、それでもいまよりずっと健全で洗練された世界だと思うんだよね、それは。

かいもの

買い物。新しいものと手に馴染むもの。しなやかに鋭い知性と洗練、あと気概。手づくりでも機械生産でも構わなくて、それよりもものに込められた思いみたいなものと、それが表出した姿形をしていれば良い。そういうものをじっと狙って手に入れたり、あるいは、ふらりと出歩いているときに偶然に見つけて手に入れたりする、その繰り返しというか、積み重ねはなかなかに人を楽しくさせるし、生きていく上での重要なポイントのひとつではないかと思うけど、違ったとしても誰も困らないのでまあいいじゃないですか。例えば、ちょっとだけ無理をしないと辿り着けないところがあるとして、大切なのはそのために努力することより、そこに行くと決めること、もしくは行かないと決めることで、これが意外と手強くて難儀する。なんだかいろいろ書いていますが、買い物は楽しいよね、という話です。買い物とは人生である。また適当なことを書いているな。

露ながるる梅雨

知らない間に梅雨入りだなんて困ったなあ、というほど困ることもなく、雨は雨で良いもので、そぼ降る雨と満潮どきの隅田川の黒々とした逆流などはとても神々しい眺めだと思う。靴が濡れるだとか、洗濯物が乾かないだとか、じめじめするということなんかは、まあそれとして、うだるような悪意と熱意に満ちた夏を前に、梅雨という時期はなかなかに楽しい時期なんじゃないかと思うので、傘を差して散歩したりすることをおすすめしたい。きっと街のそこかしこにちょっとした面白みみたいなことが見つかったりするはず。なお、僕は年中インドア派なので外出は遠慮します。

ヒドミからジンジャーまで

先日観た快快の前身、小指値の「霊感少女ヒドミ」のDVDを観る。500円。安い。
先日の「ジンジャーに乗って」は、観ている最中、ならびに、観終わった後で混乱があり、良いのだか悪いのだかさっぱりわからないという自体に陥って、感想は保留にしていたのだけど、その前作にあたるヒドミを観て、おぼろげながらわかってきた気がする。

この二作を観た限りでは、小指値改め快快は、とてもソリッドなのだ。硬派だとか堅苦しいという意味ではない。むしろ最終的なアウトプットは一見、やわらかい。物事のコアを抜き出して、削ぎ落として研磨して、そしてそこにちょこっと捻りを加える。その潔さと捻くれさ加減が難解さとなって現れてくるのではないか。これは、観る人の波長にも依るので、人によってはすぅーっと入ってくる場合もあれば、なかなか届きづらいケースもある。理解できるできない、あるいは、好き嫌いの以前に、「届かない」というのは劇団としてかなり難儀な存在だと思う。チューニングするのが俄に難しい。ぜひ観るときは、頭と心を開いて観ていただきたい。チューニングさえあえば、なかなかに楽しく面白い表現世界を観ることができると思う。それが好きか嫌いかは保証できませんけど。

小指値「霊感少女ヒドミ」(こまばアゴラ劇場)
原作:岩井秀人
作:北川陽子
演出:篠田千明
出演:初音映莉子、三浦俊輔、Nagy Olga、大道寺梨乃、中林舞、野上絹代、山崎皓司