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candylogue

September 2008November 2008

October 2008

有馬と狸

4ヶ月に一度のお楽しみ、パピルス連載の狸話「有馬騒動」を読む。今度の舞台は有馬温泉。単行本化されるとちょうど中盤から終盤に向かうくらいの頃合いなので、風雲急を告げる展開にむずむず。これで5話たまったので書き下ろしを加えて来春くらいに全部読めるといいなあ。

フランスといつもの

先週に引き続いて、ハイバイを観る。今日も2本立て。ヒッキーのは毎年やっているそうだけど観るの初めて。その名の通り引き籠もりの話なのだけど、自我炸裂とか自我崩壊の話はホントにうまい。観ていて同族嫌悪的な自己嫌悪に陥りそうになるほどにうまい。でも救いがあるというか優しさがある、んだけど、きっとそういうことはどうでも良いというか、そういうことを含めてちゃんと笑いに昇華できているのが好きなんだろうな。続いてのフランスは、ハイバイ的解釈の快快(ファイファイと読む)といった趣で、らしくない踊りと歌とドローイングという肉感的な演劇。なにより篠田さん(快快)がとても良かった。素晴らしい。そしてそんな篠田さんがヒッキーの妹役をやり、岩井さんが落語の森役をやる、偽キャスト追加公演が来週1回だけ開催されるので、これはもう観に行かない訳にはいかないのです。稽古なしでやるそうなので、明らかなる番外編であり、ふたりの破壊力を堪能する芝居となるでしょう。

ということで、ハイバイは都合3回観る訳だけれど、1回2,000円なので、3回観ても6,000円しか掛からない(実際にはセット券を使っているので5,500円)。これでも映画に比べたら割高だし、高いという感覚を持つ人も多いと思うけれど、生で目の前で繰り広げられる商品の価格としては十分に安いと僕は思う。それに比べると例えばナイロン100℃の最近の公演は6,800円程度。つまりハイバイ3回分では1回すらも観られない。では、ナイロンがハイバイの3倍面白いかというとそうとも限らない(このあたりは人によると思うけど)。じゃあつまり結論としてハイバイ観る方が得だよね、ということを言いたい訳でもなく、ナイロンの芝居を作るためには6,800円必要であるし、ナイロンの2,000円の芝居が観たい訳でもない。ある程度以上の作り込みを行うためには、それまで以上のコストが掛かり、投資効率は落ちていく。ただ、それでもあらゆる角度で作品を煮詰めていく、その価値を求める需要があり、それを感じる場合に、ある人は作り、ある人は観に行くだけのこと。そして同時にいちばん表現したいことだけを作り込んでいくことでコストを抑えて良いものを作ることもまた可能だと思う。何を持って品質が高いとするかは人それぞれであり、各人にとっての品質という基準が1つのもの差しである必要もない。

ハイバイ「オムニ出す」 (リトルモア地下)
<いつもの> ヒッキー・カンクーントルネード
作・演出:岩井秀人
出演:岩井秀人、坂口辰平、端田新菜、平原テツ、川田希
<フランス> コンビニュ または謝罪について
作・演出:岩井秀人
出演:永井若菜、坂口辰平、篠田千明、師岡広明

lollipop

すごいすごいとは聞いていたけど、カジヒデキの新譜が渋谷方面一直線過ぎて笑った。タイトルがロリポップで、ジャケットが北欧な女の子で、音楽は80年代だなんて趣味の悪い冗談のようなホントの話。「1000 Heartbeats」なんて、堀江博久、真城めぐみ、Yoshié、小山田圭吾とかいま何年? みたいなことになってて、ああカジくんしかできないよね、これは、だなんて思ったりして、いいのこれ? いいんじゃない? いいよね、そういう感じで進む、冗談じゃなくて真面目な2008年のアルバム。

連読

乙一の「死にぞこないの青」と島田荘司の「UFO大通り」を読了。乙一のは全体としては今ひとつ消化不良というか煮え切らない感じながら、読むと嫌な気分になり、鬱々としてイライラとして結果止められなくなるという、乙一らしい多湿な小説。UFOの方は御手洗潔もの。御手洗が舞台を海外に移して以降は、何となく疎遠になっていたので久々の再会。懐かしい横浜時代の中編2作はどちらも良作。氏の長編にありがちな大いなる寄り道がなく、やはり石岡くんは必要だよなあ、などと懐かしさを噛みしめながら読み切る。懐古趣味で何が悪いのかね。そして今は「森博嗣の道具箱」を読んでいるところ。

落語とSF

原宿にてハイバイのソワレを観る。めずらしく初日公演。短編の2本立てで、どちらもゲラゲラ笑う。ハイバイは、全体を通したストーリーより、ちょっとした部分のディティールを過剰に追求してくるのだけど、今回もとても面白い。過剰と言っても無理矢理ごり押ししてくるというより、全体としてそろいも揃ってひ弱軟弱系であり、爆笑大笑いというより失笑クスリ笑い系である(でも今日はいつもよりよく笑ったなあ)。なんにせよ、こんなに「間」が心地いい劇団ってほかにあまりないと思う。「間」でドキッとしてニヤニヤしてしまう。あと何度も書いているけど、岩井秀人は面白い。演出力や演技力がどうのというより、作り出す空気が最高に面白い。

初日なのでアフタートーク、というかアフターアクトがあった。ふつう、アフタートークというものは本番とは区切られた俯瞰の世界になると思うのだけど、今日は本番と地続きな世界が広がっていた。とても盛り上がる。おそるべし。アフタートークは水曜日まで。急げ原宿に。

ところで、リトルモア地下のあたりは原宿の喧騒から離れて静かで夜は暗くて、駅から少し距離はあるのだけど、往きも帰りも歩くのが楽しい。

ハイバイ「オムニ出す」 (リトルモア地下)
<SF> 輪廻TM
作:前川知大
演出:岩井秀人
出演:岩井秀人、金子岳憲、師岡広明
<落語> 男の旅 -なつこ編-
作・演出:岩井秀人
出演:坂口辰平、高橋周平、夏目慎也、師岡広明、石澤彩美

música

Wii Musicが思いの外、楽しい。僕は楽器はほとんど演奏できないけれど、それを差し引いても、演奏がきっちりとエミュレートされている訳ではない。むしろかなりアバウト。でも確実に楽しい。楽器が弾けて楽しい、というより、音で遊んでいる感じがとてもいい。きっちりと作り込まれていて、飽きさせないというか、難易度で取り残されない工夫がそこかしこに仕組まれている。さすが宮本作品。みんなでやるととても楽しくてニコニコこしてしまうので、そういう感じになりたい人にはおすすめ。みんなでニコニコ。

先日のクラブハイツ公演で先行予約した「記憶喪失学」が届いたので、ぐるぐるとロンドの如く聴く。うっとりとしてざわざわとする。とても良いアルバム、だと思う。

391分

ずっと前に買っておいて、いつ観ようかいつ観ようかと楽しみを先延ばしにしつつ、3時間は長いからねと先送りにしていた「消失」のDVD。「シャープさんフラットさん」の余勢を駆って、今が頃合いか!と本編167分とメイキング57分とオーディオコメンタリー167分を一気に観て死ぬ。

大所帯の「シャープさんフラットさん」からがらりと変わって6人の役者による贅沢な舞台。前評判がとても良くて、だから安心して観ていたというのもあるのだけれど、純粋でまっすぐな6人の登場人物たちがとても愛おしくて、とてもぐっと来て困った。なにより寝るタイミングを逸して困った。コメンタリーの馬鹿馬鹿しい話が、なおさらに愛おしさを際立たせてきらきらする。誤用な気がするけど、まあとにかく良かった。きらきら良かった。あー劇場で観たかったなあ。コメンタリーで、いつか再演したいと言っていた言葉を信じて待ちたい。

ところで、「シャープさんフラットさん」のパンフレットは、15周年のアニバーサリーということで豪華2冊組。ずっしりと読み応えがあるが、一部ネタバレが含まれているので、観劇後の精読をおすすめする。なお、廣川さんのカットがいやに格好良くて笑える。笑わすものではない、ということも含めて良いカット。

ナイロン100℃「消失」 (2004年)
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:犬山イヌコ、みのすけ、三宅弘城、大倉孝二、松永玲子/八嶋智人

シャープさんフラットさん

土曜日と日曜日にナイロン100℃の「シャープさんフラットさん」を観劇。

今回は2本立て公演なので2日に分けて観たのだけど、最速先行で同日に予約したにも関わらず、土曜日が後ろから2列目で、日曜日が最前列というメリハリの効いたポジションを割り当てられる。が、それはそれでワイドにズームに堪能できた。劇団を2つに分けているのにこれだけのものを創れてしまうところにナイロンの底力を見たと思う。

ブラックとホワイトを両方観て違いを楽しんでやろうという魂胆だったのだけど、思ったほどの違いはなかったかなあ、という感想。前作「わが闇」より咀嚼するのに時間が掛かる気がする。話自体の違いより、チームのメンバー構成から生まれるグルーヴの違いが際立つ感じだろうか。好みが大きいと思うけれど、個人的にはブラックの方が好きな役者が多かったせいもあり、良かった。ブラックを先に観たことも大きいと思う。ブラックのクールさが下敷きにある状態で、ホワイトの優しさを観てしまうとちょっと緩いとも思えてしまう。でも繰り返すけれどこれは好みの問題であり、逆に感じる人もまたいると思う。そういうことが面白みとして計算されているのだろう。

主役の大倉孝二と三宅弘城はいずれも出色の出来。全公演出演、おつかれさまです。そして、犬山イヌコ、村岡希美、みのすけ、峯村リエ、長田奈麻、新谷真弓、皆戸麻衣、坂井真紀、小池栄子、マギーが好演。役者の名前を書くとき、敬称を付けるか、呼び捨てにするかでいつも迷うのだけど、今回は敬愛の気持ちを込めて敬称を付けずに書いておきます。あと、植木夏十がとても良かった。コメディエンヌとしての力をメキメキと付けている感じでとても頼もしい。12月のKERA・MAPの出演もとても楽しみ。

とここまで書いてきてなんだけど、個人的には前作、前々作の方が好みではある。

ナイロン100℃「シャープさんフラットさん」 (本多劇場)
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:ブラックチーム:大倉孝二、犬山イヌコ、みのすけ、峯村リエ、長田奈麻、植木夏十、喜安浩平、大山鎬則、廻飛雄、柚木幹斗、水野顕子/小池栄子、坂井真紀、住田隆、マギー/三宅弘城
ホワイトチーム:三宅弘城、松永玲子、村岡希美、廣川三憲、新谷真弓、安澤千草、藤田秀世、吉増裕士、皆戸麻衣、杉山薫、眼鏡太郎/佐藤江梨子、清水宏、六角慎司、河原雅彦/大倉孝二

金曜日の夜

金曜日の夜、NHK教育にて、イデビアン・クルーの「排気口」が放映される模様。スタイリッシュなんだけど、取っつきやすくすんなり入り込んで楽しめます。おすすめナリ。

紙の匂い

先日、新宿にて。少し時間があったので、紀伊國屋書店に入って本を買ってみた。

本当に近頃は本屋で本を買う、ということをしなくなった。僕の場合、本はたいていのケースにおいて、あらかじめ決めているものしか買わない。そして往々にして本屋に目当ての本は置いていない。あるいは探すこと自体が面倒に思えたりしてしまい、結局ネットで買うことが95%くらいになっていると思う。探すのが楽しい、あるいは、運命という名の偶然の出会いという奴もあるのだろうけど、いつもいつもそれじゃあ物好きかコンサバティブな人しか集まらないよねえ。まあ、本なんてそもそもマニアックでマイノリティな商品な訳だけど。そういえば、紙の匂いのする本屋(たぶん商店街なんかにある小さな本屋だ)にはずいぶんと行っていないなあ。あの匂いはすごく好きだ。これはアマゾンじゃ無理だね。

5分で決めた本がなんなのかは置いておくとして、それとは関係なく、「日出る国の工場」を読了。小岩井農場に行きたくなったり。岩手の高原は素晴らしいですよ。

そわそわ

期が変わってちょっと落ち着いたような、でも本番はこれからよ♥的なちょっとそわそわした感じでとくに目的もなくだらだら過ごして、夕方あたりに買い物に出掛けて空を見上げるとほんのりオレンジ色に染まった夕空で、でも深く感銘を受けたりはしないでゆらゆら歩いて帰ってくる。

漫画はあまり読まないというか手を出さないことにしているのだけどつい魔が差して「デボネア・ドライブ」を読んだらとても面白かったので余裕があったら読むといいと思います。余裕がなくても読むと余裕ができるかも知れないけどそんな効能は謳われていません。登場人物たちの距離感となんだかみんないい人なのがとてもいい。会長幽体と死神のコンビが素敵。

冷たく

日が変わって月が変わり、松下はパナソニックになり、東京は都民の日を迎える。気温は程よく下がり、窓を開け放して流れ込む空気はとても潔く冷たく心地良い。太陽から黒点が消え、温暖化どころか寒冷化に向かうという話もあったりして、まあそれはそれでいいんじゃない? などと無責任に思う10月。