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candylogue

February 2009April 2009

March 2009

パン屋再襲撃

村上春樹の「パン屋再襲撃」を読了。85年から86年に掛けての作品なので、僕は小学生の頃か。そう思うと感慨深い気がすると思いきや、そうでもない。でもこの年齢ならオンタイムで読んでいる可能性もあった訳で、20年目の邂逅というか、本というものの寿命の長さを感じる。しみじみとウェットに想うというより、さらさらとドライに思う。

短篇集であり、どの話もつかみ所が無く、具体的な話が積み重なって抽象的な話に昇華して霧散するような、でも残り香が何時までも消えずにとどまっている、そんな小説。「ファミリー・アフェア」がとくに良かった。そのほか、ねじまき鳥クロニクルの元となった「ねじまき鳥と火曜日の女たち」など収録。

夏の水の半魚人

前田司郎の「夏の水の半魚人」を読了。これまでの前田小説とはちょっと毛色が異なり、ポジティブ脳天気ダメ人間路線ではなく、もっとずっとアンニュイな印象がある。簡単に言うと、物静かで詩的なイメージ。ついに賞取っちゃうのかなあ、という気もしなくはない。ただ、不可思議な要素が含まれているところは相変わらず。ところで、印象ばかりを重ねてなにも具体的に語っていないのは、こういう作品を僕は咀嚼しづらいからなのだけど、何でもかんでも把握しなくちゃいけないなんてのは疲れるから嫌なのである。読み流すくらいがちょうど気分が良い。

お買い物

2月に放送されたNHKドラマ「お買い物」をやっと観る。すごく良かった。やっぱり前田司郎いいなあ。派手さはからきし無いのだけど、実にNHKらしいところも含めて、じんわりぐっと来る。隙だらけなところが伏線にならないでそのまま終わるところとかね。

作:前田司郎
出演:久米明、渡辺美佐子、市川実日子、山口美也子、山中聡、志賀廣太郎、宗近晴見、黒田大輔、後藤飛鳥、ふるごおり雅浩

散歩する侵略者

前川知大の「散歩する侵略者」を読了。以前観てとても良かったイキウメ・前川知大の処女小説で、イキウメ作品同様、日常と非日常を行き来しながら、ゆらゆらと切迫感乏しく、でも確実にズレながら深みにはまっていく感覚がある。

物語は縁日の金魚から始まり、タイトルにある通り「侵略者」が現れ、夫婦や家族や、あるいは何かが、少しずつ壊れていく。でも圧倒的な崩壊や終末はなかなか訪れず、あくまで緩やかに壊れていく。そしてやがて訪れたその時に何が壊れ何が残るのか。そういう物語。

恋文の技術

森見登美彦の「恋文の技術」を読了。初めに断っておくと、僕は森見登美彦に毒されているので客観的な感想は述べられない。なのでその点を差し引いて読んでいただきたい。というようなことは前にも書いた気がする。

で、とてもオモシロイ。始めから終わりまで徹頭徹尾、阿呆な腐れ大学(院)生が手紙を書いて書いて書きまくる。それ以外のことは一切起こらない。登場人物も数えるほどしか出てこない。そもそも物語は手紙の中でしか展開されない。それなのに鮮やかに浮かび上がる豊かな情景。恋文と言いながら恋文とは言い難い書簡の数々。知略を巡らし墓穴を掘り続ける大いなる無駄の毎日。そして遂には恋文の技術は確立されるのか否か。そういうことを思いながら、手に汗握ってページを繰ることもなく、淡々と読み進めていくその先にあるものははてさて。

読後感もくどすぎず、薄すぎず、ほどほどにちょうど良いところもとても好ましい。そしてなによりも文中に登場する伊吹さんの言動が素晴らしい。この毒にも薬にもならないが故に効能豊かなテキストを、いずれまた読み直したい。

ということで引き続き、前川知大の「散歩する侵略者」を読み始める。

ナンセンス劇

スズナリでナンセンスを観る。2年前、シアターアプルでの変態ロリコンナンセンス劇以来のブルースカイ作・演出公演。もうそれだけで観に行かざるを得ない。時代に取り残されて、観客を取り残して、進むようで進まない、天然記念物のようなナンセンスに乾杯。公演も終わったので、劇中での合唱練習風景にリンク。

ダックスーププロデュース「この世界から消える魔球」 (ザ・スズナリ)
作・演出:ブルースカイ
出演:池谷のぶえ、粕谷吉洋、喜安浩平、小村裕次郎、髙田郁恵、原金太郎、松浦羽伽子、三浦俊輔、安澤千草、吉増裕士

大阪城をめぐる話

万城目学の「プリンセス・トヨトミ」を読了。京都、奈良と続いた話の今度の舞台は大阪。壮大且つ妄大であり、過去作を凌ぐ長大で深大なストーリーながら、さくりと読める手軽さがある。でも、完成度や馴染みやすさは今ひとつというか、細部の粗さが気になったかな。そういうところを気にして読む類のものではないのはわかっているのだけど。

引き続いて、森見登美彦の「恋文の技術」をヨムヨム。

斜め舞台とまどろみ

池袋の東京芸術劇場で、フェスティバル/トーキョー参加作品の「火の顔」を観る。サンプルの松井周演出、ハイバイの岩井秀人出演、という関係性が観劇の決め手。で、舞台美術が素敵。シンプルなんだけど、とても雰囲気があって美しい。あと岩井秀人のアレはやったもの勝ちということだろうか。いつかやると思ったけど、ここでか、という意外性はあったかも知れない。トータルで悪くなかったのだけど、ひとつマイナスがあるとすれば、僕が眠すぎた、という点に尽きる。

「火の顔」 (東京芸術劇場 小ホール)
作:マリウス・フォン・マイエンブルグ
演出:松井周
出演:猪股俊明、大崎由利子、野津あおい、菅原直樹、岩井秀人

越谷で落語

陽が落ちる前に会社を出て、地下鉄で押上に向かい、乗り換えて県境を越えて新越谷まで50分。今年最初の落語は、立川談志と桂三枝という不思議で珍妙で貴重で、ミーハー受けする組み合わせに誘われての埼玉遠征。落語に僅かながらに慣れてきたこともあってか、余裕を持って望んで、余裕を持って楽しむ。ただ、会場がどかーんと広かったせいもあるけど、談志が一層弱々しく感じられたのがほんの少し悲しい。肝心の噺は、談志が「やかん」で、三枝がケータイにまつわる親子の噺「メルチュウ一家」。「やかん」はテレビも含めて最近よく触れているせいか、少し食傷気味(ちょっとずつ違うのを見つけるのが楽しいけどね)。比して、三枝のは良かった。面白かった。うまい。落語とは即興、というかライブなんだな、という思いを胸に満足して空腹の中、南へと帰る。

「立川談志・桂三枝 二人会」 (サンシティ越谷市民ホール)
出演:立川談修「宮戸川」、桂三枝「メルチュウ一家」、立川談志「やかん」

毛玉読書

電車の中でわくわくしながら毛玉話の続きを読む。そろそろ単行本になる頃合いかなあ。引き続いて、「プリンセス・トヨトミ」を読み始める。今年は全然本を読んでいないのだけど、ぼちぼちと読んでいきます。

いろいろ

色々と色々が重なり、目が回るというか瞼が落ちる勢いで毎日過ごしていますが、兎にも角にも色々とやりたいことがたくさんあるなあと思う次第です。とりあえず、パピルス4月号をあすの電車の中で読みたいと思います。