森見登美彦の「恋文の技術」を読了。初めに断っておくと、僕は森見登美彦に毒されているので客観的な感想は述べられない。なのでその点を差し引いて読んでいただきたい。というようなことは前にも書いた気がする。
で、とてもオモシロイ。始めから終わりまで徹頭徹尾、阿呆な腐れ大学(院)生が手紙を書いて書いて書きまくる。それ以外のことは一切起こらない。登場人物も数えるほどしか出てこない。そもそも物語は手紙の中でしか展開されない。それなのに鮮やかに浮かび上がる豊かな情景。恋文と言いながら恋文とは言い難い書簡の数々。知略を巡らし墓穴を掘り続ける大いなる無駄の毎日。そして遂には恋文の技術は確立されるのか否か。そういうことを思いながら、手に汗握ってページを繰ることもなく、淡々と読み進めていくその先にあるものははてさて。
読後感もくどすぎず、薄すぎず、ほどほどにちょうど良いところもとても好ましい。そしてなによりも文中に登場する伊吹さんの言動が素晴らしい。この毒にも薬にもならないが故に効能豊かなテキストを、いずれまた読み直したい。
ということで引き続き、前川知大の「散歩する侵略者」を読み始める。
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