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バンコク紀行 (2)

7時過ぎに起床。雨が心配だったけれど天気は晴れ。チャオプラヤー川沿いのテラスで朝食を摂る。基本的に西洋式でタイとチャイニーズが少し。折角、タイに来たのだから、という気持ちがないでもないけれど、ホテルの洋式朝食が好きなので問題なし。どうせまわりはタイなのだから、放っておいてもタイ色に染まることになるのだ。チャオプラヤー川のように。そうそう、フルーツは南国だけ合って、スイカ、メロン、パイナップル、グレープフルーツといった日本でもよくお目に掛かるものから、マンゴー、パパイヤ、あるいはドラゴンフルーツといった南国系定番まで豊富に揃っていた。見たこともないフルーツもあって食べてみたのだけど結局なんだかよくわからなかった。果物と野菜の中間くらいの甘みで噛み応えのある繊維質が印象的。

部屋に戻り、荷物を整えて出発。折角、川沿いにいるので船で王宮方面に行こうと思う。ホテルを出て右に折れるとすぐに船着き場で、バラックのような、もとは鮮やかだけれど決定的に色褪せた
建物にはいり、船を待つ。水上バスが定期的に巡回していて、普通とか急行とかの種別によるけれど10〜30バーツ程度で気軽に乗ることができる(今日は日曜なので快速だけ)。それ以外にも英語が通じるらしい観光客向けの船も定期的に就航しているのでそちらを使ってもいい。が、折角だからと(そればっかり)水上タクシーをチャーターしてみることにした。船をチャーターなんてなかなかできることではないので、清水の舞台から飛び降りる覚悟で、というのは大げさなのでチャオプラヤー川に飛び込む覚悟で、と書いたけどチャオプラヤー川はいろいろな成分が溶け込んでいそうな土色をしているので、あまり飛び込みたくはない。船着き場でせわしく観光客に応対しているオッチャンと値段を交渉するも言葉が通じないので、別のオッチャンと交渉して、タクシーを呼んでもらう(結局、2,000円もしないのだけど、こちらの物価で考えたら相当高い)。桟橋にでて船を待つ。空は青空で、やや雲も多い。青い空と白い雲と土色の川。それに魚醤の匂いが漂う(まあそれはどこでもだけど。つまりバンコクは排気ガスと魚醤の匂いに満ち満ちている)。視界が開けて、対岸のホテルや遠くの橋や行き交う船が見える。なかなか気持ちがいい。まあ言ってみればどぶ川なんだけど、爽快な気分になる眺めではあります。

[photo] チャオプラヤー川

水上タクシーは、モーター付きの屋根付きの細長い船で、乗ろうと思えばたぶん10人くらいは乗れそう。結構なスピードで飛ばすから、わりと当然のように水がかかるので乗るときは注意した方がいいです。かかる水は何が溶け込んでいるかわからない種類のものだしね。チャオプラヤー川は川幅が広く、流れは穏やか。河原のようなものはなくて川岸ぎりぎりまで建物がひしめき合っている。そんな川を大小さまざまな船が行き交っていて、なかには何を運んでいるのかよくわからない黒い大型の船が何隻も何隻も連結して曳航されていたりもする。そういうワイルドで実利的な面を持ちつつ、快走する水上タクシーから水面を眺めていると、なんとなく敬虔な気持ちにもなったりする。まあ、どぶ川だけど。川を遡ること10分くらいで目的地のワットアルンに到着。

ワットアルンはバンコクの代表的な寺院のひとつで、とうもろこしのような仏塔が特徴的(というかこちらの寺院の共通様式みたい)。ワットは寺院で、アルンは暁を意味している。桟橋に着いたら、そこにいたオバチャンになぜか20バーツくらい請求されたのでワットアルンの拝観料なのかな、と思って払ったけれど、どうやら水上タクシーのチャージだった模様。その先では観光地でよく見かける顔ハメのパネルが置いてあり、西洋人の夫婦が顔ハメして無邪気に写真を撮っていたら、案の定、40バーツを請求されて困惑していた。パネルの下の方にこっそりと「40」って書いてある。ずるいというより逞しいなあ、と感心したりするけど、まあでも気づかないよね、ふつうは。

タイ式仏教にはなじみがないので、こういう建築がどのような歴史的変遷をたどってどのような価値を帯びているのか、ということはわからないのだけど、見ているとどこかしら厳かな気持ちになるのは、さすが宗教施設。僕はあまり宗教というものに熱心な人間ではないのだけれど、ゆったりとした気持ちと心のどこかがざわざわするような気持ちを同時に味わえるその雰囲気はとても好きだったりする。近くに寄ってみると表面にはさまざまな色合いの陶器のかけらのようなものが敷き詰められていて、素朴で可愛らしい。赤とか黄色とか青とか。階段で上まで上がれるので登ってみる。思いがけず階段が急で、後ろに吸い込まれるような気がして手摺りを強く握りしめながら一歩一歩、腰が引ける思いでひいひい言いながら登り詰めると、チャオプラヤー川はもちろん、向こう岸も含めてあたり一帯が見渡せてとても気持ちがよかった。いい場所だなあ。このあとに乗る渡し船が見える。

[photo] ワットアルン

本堂をのぞいてからさっきとは違う船着場に行き、対岸への渡し船に乗る。3.5バーツかそのくらい。左右に行き交う船の合間を縫って5分そこそこでターティアン船着場に到着。あいかわらず魚醤の匂いが漂う薄暗い屋舎を抜け、焼き鳥風の串焼きや干物などの屋台や商店のあるエリアに出る。あいかわらず雲は多いけど、まだ青空が見えている。雨が降らないといいな。王宮にもワットポーにも行ける場所だけど、まずはワットポーに行くことにする(のだけど、後から考えるとこれが運命の分かれ目であった)。ワットポーは横たわる黄金色の巨大な仏さまのいる寺院で、見たことがある人も多いのではないでしょうか。そんなひかり輝く涅槃仏を拝観して、境内を本堂外側に沿ってぐるっと回る。大小のちょっと変わった石像がたくさんあって面白い。ヨガみたいなポーズを取った像とか不思議な動物の像とかいろいろある中で、ゾウの石像がお気に入り。かわいい。ところで、回廊や本堂にもたくさんの仏像が安置されていて、どれもがみんな金色ピカピカでタイの仏さまはリッチだなあ、と思ったのだけど、単に日本とタイにおける金の産出量の違いなのかもね。

[photo] ゾウの像

さてここワットポーにはタイ式マッサージの学校があり、マッサージ体験もできる。昨日、禁断のマッサージの世界に足を踏み入れてしまったので、今日は臆せず立ち向かう。ちなみにタイ式マッサージの総本山であり、変な目に遭うこともないと思うので安心してマッサージを受けたいのならおすすめ。1時間の全身マッサージで360バーツ。全身だからなのかそれともこれが本式だからなのか、昨日よりは痛かったけど、経験したものの強みでもはや大して怖くはない。かかってこい、という気持ちでおばちゃんにぎしぎしとやられる。そして寝落ちする。最後に冷たいお茶をもらってひと段落。すっきり軽い足取りでワットポーをあとにする。さて、14時をまわっていたのでそろそろごはんが食べたい。調べてみると、ひとつ隣のターチャン船着場の近くに屋台が集まったエリアがあるみたいなのでそこに行ってみることにする。王宮の外壁に沿って北上する道すがら、歩道に所狭しと店を広げた露店を見ながら掻き分けながら歩く。と、なんとなく雲行きが怪しくなってきて、気にして見回してみるといくつかの露店が店仕舞いの準備を始めている。いよいよスコールかなあ、と思いながらもまあそれならそれで楽しいかもしれない、と切り替えて、でもここで降られるとやっかいなので屋台村に急ぐ(屋台村という呼称ではないけどまあ屋台村だ)。

10分くらい歩いて屋台村に到着。土産物屋も含めていろいろな店が出ているなか、それなりにお客さんが入っている店を選んで席に着く。チキンのスープヌードルとフライドライスを頼む。あとファンタとスプライト。缶入りなので水の心配もいらない。ふだんはあまり炭酸は飲まないのだけど、暑いせいかタイには炭酸が似合う。それも、ライトとかカロリーオフとかではなくて、スタンダードな無果汁の甘い炭酸飲料。蒸し暑いし、人も多いし、屋外だし、いろいろとどうでもよくなる。暑いのは苦手なんだけど、こういう別になにをするわけでもない条件下でのどうでもいい暑さというのは、何にも考えなくていいので楽しい。

[photo] 屋台

そろそろ王宮にでも行こうかしら。ということで屋台を出て王宮方面に歩き出したところで、ぽつぽつと降ってきた。でもまだ平気。気にせず入り口まで行き、いざ王宮へ、というところで警備員に追い返される。はて? とあたりを見渡すと15時半が入場最終時間との掲示あり。あれれ、意外と早いんだねえ、こんなことならワットポーより先に来ておくべきだったな、となったものの、だらだら適当に巡れたらいいや、というお気軽散歩を指向しているのであまり残念という気も起こらず、さてではどこに行くかね、という感じでガイドブックのページを繰る。そういえばパリもルーヴルに行っていないし、そういう外した感じは性に合っている気もする。定番に行かない代わりに、ほかのなにかを体験できるわけだし。さて検索の結果、ワットサケートのパノラマビューにもちょっと興味があったけど、318段の螺旋階段を登る勇気がなかったので、バックパッカー街であるカオサン通りに行ってみることにした。三輪タクシーのトゥクトゥクに乗り込んでいざカオサンへ。

[photo] トゥクトゥク


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タイのバンコクに行ってきました。 以下はその時のことを記憶を頼りに再構成したもの...
王宮前広場を抜けて、排気ガスをふんだんに浴びながらもガタガタと軽快に揺られながら...