明大前でイキウメの試演会を観る。初イキウメ。オーソドックスで好み。それに上演時間が60分というのも良かった。1月の短篇集も観に行くのでそれも楽しみ。
イキウメ「煙の先」 (キッド・アイラック・アートホール)
作:前川知大
演出:イキウメ役者部
出演:浜田信也、岩本幸子、緒方健児、篠塚茜
いつの間にか中国に行ってしまった川島蹴太がまさかの復活というか、そもそもまさかというほどの驚きを伴って迎えられるほどの認知はきっとないだろうと思われるテトラプルトラップの新譜が「淋しい熱帯魚」だなんて、もう狙いなのか、天然なのかはどうでもよくて、こういう人を食った言動の憎々しさと痛快さが、チクチクとした胸の痛みとともに単純に面白い。ちなみに「淋しい熱帯魚」は紛れもなくWinkのカバー。1989年。
ナイーヴポップ・オア・プチフールの「アイ・ラブ・エヌ・ピー」は、根尾亜子、って誰だ、ネオアコ全開で、あまりに胸キュン過ぎて胸焼けする感じがとても好感が持てます。今時誰が聴くんだよ、なんて言わないで聴きたい人だけ聴けばいい。聴きたくない人は聴かなければ知らずに済んでそれもハッピー。手作り手ぬぐいジャケットにライナーノーツと元ネタガイドまで付く悪趣味ぶりにニタニタしながら、こういうチープと過剰の混沌みたいなものの行く末に思いをはせる、なんて出鱈目なことを思ったりした。いや、しない。
フリッパーズ・ギターやピチカート・ファイヴなどへの懐古でもなく、小沢健二や曽我部恵一らへの憧憬でもなく、それらへのアンチとしてのカプセルやプラスティック・スクイーズ・ボックスでもなく、純粋に好きなことをやっているだけ、みたいな姿勢は、まったくの時代錯誤で時流に乗り遅れた純然たるダサさを遺憾なく発揮しながら、ゴーイングマイウェイで「それが何か?」とひとこと言って、さっさと行ってしまう、そういう痛快さが何より格好いいと思う。実際のところは知りませんけどね。
それとこれとはまったく関係がなく、ずっと前に買って塩漬けにしていた「鉄コン筋クリート」が奇跡的に発掘されたので観る。浅いんだか深いんだかよくわからないストーリーも良かったり悪かったりするけど、それより何より絵がすごい。とても自由で潔く、観ていて気持ちがいい。今さらこんな感想を書くくらいの自由さがとてもとても大切。自由であるべきは環境ではなく思考なのだ。
五反田団観劇。あまりにもゆったりのんびりだったので、気持ち良くなって眠りたくなる。目の前で面白いことが行われているのに、寝ちゃってもいいかな、と思えるある意味贅沢な夢うつつの80分。とはいえ取り立ててほんわかとしたストーリーでもなく、シュールでトリッキーでシンプル。ただし、今回はサービスはほとんどない。2月に早くも新作公演。10月には東京芸術劇場でも。
ところで、アトリエヘリコプター隣の廃墟みたいな建物が更地になっててちょっと残念。
五反田団「すてるたび」 (アトリエヘリコプター)
作・演出:前田司郎
出演:黒田大輔、前田司郎、後藤飛鳥、安藤聖
いよいよ東京も寒くなるようで、うきうきとうれしい、冬は寒いに限る、というカウンター的なことを書くのはもうやめにして、この冬をどう過ごすかということに思い巡らせると、まあとくに何がしたい訳でもないのだけど、本を何冊か読んで、何本か映画を観て、好きなことを考える時間があって、あとは味付け的に寒さと暖かさがほどほどにあるとちょうど良い。でもちょうど良いなんて予定調和的な冬である必要もなくて、波瀾万丈な冬であってもいい、と無思考で書いたものの、辛いのはやっぱり嫌なので、コタツにみかんでお正月、みたいなほっとする絵に描いたような冬がいいと思う。コタツもみかんもないけども。そう、あいかわらず芝居もちょっとは観たいのだけど、年内はもうそんなに観る予定はなくて、五反田団とイキウメとケラ地図とデスロックくらい。これが少ないと思えるほど病んでいる訳だけど、自覚しているので見逃していただきたい。あと思い立ったら何か観に行くかも知れない。年明けは工場見学会にも行きたいなあ。というか来年はあるのかしら。それにしても演劇の選択と集中スキルはめきめきと身につけてきた気がするので、来年は少数精鋭で一気呵成に攻めたいと思う。と固く心に誓っているのだけど、何を攻めるのか今ひとつよくわかっていない。そもそも選んでいくと3月までに観たいのが10本くらいあるんだよなあ。これくらいが最低ラインなのかも知れない。これ以上絞るなら、いっそ観ない方が気が楽だったりする。だから来年はもう何も観ない、という手も残されている。少なくともそうすればだいぶお金が浮くことは確実だ。しかし、それが貯蓄に回るかどうかは定かではない。いや、贔屓目にみてかなり疑わしい。ただ、こうも思う。これまでに観劇に使った金額を考えると、いろいろと思うことはあるけれど、最高に面白かったものから、最低につまらなかったものまで、すべてひっくるめて何ひとつ無駄はないし、全体の公演数からすればごくごく僅かな数ながら、それらの芝居を観てきたことに後悔はなくただ楽しく面白い思いしかない。これは芝居に限った話ではなく、音楽だったり、本だったり、あるいは、人との出会いだったり、何処かへの移動の最中に見た風景だったりも本質的には同じで、つまりは面白いと思えることをどれだけ感じられるかってことで、そういう生き方が間違っているとか正しいとかはどうせ結論が出ないことなので放っておいて、ただそういう思考ができるとできないとでは、結構な差があるんじゃないのかなあと思ったりするのである。言うなれば面白感知力、あるいは、面白変換力。そういう積み重ねで今があって、だから過ぎ去ったものすべてにラブ、みたいなことを書いていていよいよ話が見えなくなってきたので、終息点を探る努力を放棄してここで終わります。ご静聴ありがとうございました。
先週は1ヶ月ぶりくらいに芝居を観ない週末だったのだけど、代わりにたまっていたDVDを消化。つまり結局観てる訳だ。
「マトリョーシカ地獄」は、評判が良くて観たかった作品(小劇場の場合、評判が出回る頃には公演が終わっているかチケットが入手困難)。DVDで観るのと会場で観るのはきっとまったく違うのだろうけど、これは劇場で観たら面白かったと思う。特にクロムモリブデンは劇場で目の前で観るべき。や、観なくてもいいですけど。DVDパッケージというかチラシがとてもかわいい。
「フローズン・ビーチ」は10年以上前の作品ということで、98年って言ったら前の会社に入社したくらいで、Windows98が出た年ですが、だから何だということはさっぱり何もありません。内容はサスペンスでコメディ。割合と悲惨な話なのだけど、救いのようなものもあったりなかったりする。救いだと思えば救いだし、そうでないと思えばただ悲惨なだけの話。前にDVDで観た「消失」もそうだけど、ナイロンの少人数舞台は、濃密で集中できて面白い。いずれ生で観てみたい。あと、今江さんは初めて観たのだけど、魅力的な役者さんで、また観られたらいいなあと思う。
クロムモリブデン「マトリョーシカ地獄」 (2007)
作・演出:青木秀樹
出演:森下亮、金沢涼恵、板倉チヒロ、重実百合、奥田ワレタ、木村美月、久保貫太郎、渡邉とかげ、板橋薔薇之介
ナイロン100℃「フローズン・ビーチ」 (1998)
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:犬山犬子、峯村リエ、松永玲子、今江冬子
乃木坂で詩人、萩原朔太郎の半生を題材とした芝居を観る。久しぶりに演劇らしい演劇というか芝居に題材もあいまってノスタルジー。全篇に渡ってのピアノ演奏がなにより素敵でした。
引き続いて、小雨が降る中、六本木の外れまで歩いてクリウィムバアニーを観る。4月同様、ポップで確信犯的。今回は、ドラムにシンセサイザ、トランペットに野菜を囓る音といった即興による音とダンスが心地良かった。寒かったけど。そのうち、こことかにレポートが載ると思うけれど、とりあえず前回のビデオをどうぞ。ところで、たぶん衣装はこのときと同じなんだけど、今回は11月で野外。ステージ中央に置かれた炬燵がライフラインみたいで面白かった。寒いそぶりひとつ見せずに根性見せてました。
おおののvol.1「世界の中心で、朔太郎をさけぶ」 (乃木坂コレドシアター)
作・演出:大野裕明
音楽・ピアノ:保坂修平
出演:浅田よりこ、各務立基、八代進一
comainu+Jimanica with クリウィムバアニー「光のしるし」 (六本木ヒルズアリーナ)
青山でクロムモリブデンを観る。今年3回目。前作よりマイルドでストーリー性があったような気がするけど、そういう細部より、全体の流れを支配するリズムが心地よく、観ていて楽しい。内容を咀嚼しながら観るよりも、目の前で行われている行為をただ観ていることが、何というかとても気持ちがいい。楽しみ方として、芝居よりも音楽に近いのかも知れない。
絶賛追跡中のハイバイとは対極のようなクロムモリブデンもまた大好きで、好きなものが座標上に点在するのを確認するにつけ、あべこべですなあと思いつつも自分らしくてそれもまた好ましい。ただ、小劇場系ばかり観ているので、多少は名の通ったところも観てみないことには申し訳が立たない、と思ったとか思わなかったとかで、野田地図のパイパーを狙うも予想通り抽選漏れしたので、有名なところは面倒だなあ、とか思ったり思わなかったりしたのち、イキウメの試演会と来年のNHKシアターコレクションを楽々確保して、諸君、小劇場(愛好者)の未来は明るいぞよ、と曰ったりしたとかしなかったとか。
クロムモリブデン「テキサス芝刈機」 (青山円形劇場)
作・演出:青木秀樹
出演:森下亮、金沢涼恵、板倉チヒロ、奥田ワレタ、木村美月、久保貫太郎、渡邉とかげ、板橋薔薇之介、幸田尚子
割と前にリリースされているので、今さらな感もあるけれど、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの「新しい世界」のPVがとても良いのでついDVDを購入。
中村佑介+STUDIO4°C。
電車の中で森博嗣の「工作少年の日々」を読んでいて、「小さいが確かな幸せ、「ラッキー一発!」だ。」のくだりで思わずにやける。
夜、リトルモア地下で岩井秀人。と揃えたところで、本日はハイバイ特別追加公演を観る。稽古はしないと言っていたけど、3時間だけしたらしい今夜限りの似非配役による2本立て公演。でも思ったよりはちゃんとしてて、役者ってすごいね、と思ったり、でももっとぐだぐだになった方が面白かったかなあという感じで、たぶん今日来ていた人の多くはそんな感じだったようで、変な間ができたりして不穏な空気が流れると、クスクス笑いが漏れる展開に。それにしても篠田さんのフリーダムな感じがとてもよろしゅうございました。ハイバイ、次回の本公演は来年6月。あと、岩井さんは来春、フェスティバル/トーキョーの「火の顔」にも出演予定。ってかなりの熱の入れようですね。うふふ。
ハイバイ「オムニ出す」 (リトルモア地下)
<落語> 男の旅 -なつこ編-
作・演出:岩井秀人
出演:岩井秀人、坂口辰平、夏目慎也、師岡広明、石澤彩美
<いつもの> ヒッキー・カンクーントルネード
作・演出:岩井秀人
出演:篠田千明、岩井秀人、坂口辰平、平原テツ、川田希
昼、スズナリで田畑智子のひとり芝居を観る。ひとり芝居は難しかろうに、と思っていたけれど、そして実際に難しいと思うけれど、とても良かった。もともと実力派にカテゴライズされる役者さんではあるのだけど、うまいし何より力強く、観客を不安にさせることなく安定して余裕を装って(装えることがなにより大切だと思う)芝居をしていた。脚本も面白いし、「演劇」というものの面白さをすごくわかりやすく理解できる公演だと思う。
ひとりで何役もこなしたり、同じセットなのに朝だったり夜だったり、テレビを付けてもテレビは映らなかったり。そういう出鱈目を取り込んで作品として見せるのが演劇だと思うし、そもそも作り物である時点でリアルであれば良いという訳でもないのだから、如何にうまく、面白くデフォルメするのかが作家や役者のオリジナリティであり、観ていて楽しいところなんだと思う。シリアスだったり、笑いだったり、タイプはさまざまあるけれど、エンターテイメントとしてもっと認められてもいいのにね。
などと思わせる田畑智子のひとり芝居はあす月曜日まで。下北沢スズナリにて。おすすめです。
トム・プロジェクト プロデュース「バッタモン」 (ザ・スズナリ)
作・演出:中津留章仁
出演:田畑智子
夜、パルコで本谷有希子。前作、前々作と個人的に今ひとつな感じで今回合わなかったら、次回はスキップしようかな、と開演を待ちながら考えていたら、ずずっと引き込まれて2時間終了。面白い。ホームドラマじゃない、突飛な設定じゃない、フツーの日常空間での歪みに歪んだ人びとのお話。
いろいろな背景を背負いながらも、心の中で折り合いを付け、ふつうに暮らすふつうの家族。それがふとした、天災のような切っ掛けから折り合いが崩れていく。歪むことなんてふつうで、ふつうに暮らすということは歪みを抱えて、折り合いを付けて生きることなんだ、ってことを指し示しつつも、そんなことより、テンポとはち切れ具合がちょうどいい。ほぼ全員が好演。今度の本谷は面白い。
ところで、パルコ劇場は帰りのエレベータ待ちで、現実に引き戻すというか余韻を引きずらせない構造なんだろうか。
パルコ・プロデュース 劇団外、本谷有希子「幸せ最高ありがとうマジで!」 (パルコ劇場)
作・演出:本谷有希子
出演:永作博美、近藤公園、前田亜季、吉本菜穂子、広岡由里子、梶原善
4ヶ月に一度のお楽しみ、パピルス連載の狸話「有馬騒動」を読む。今度の舞台は有馬温泉。単行本化されるとちょうど中盤から終盤に向かうくらいの頃合いなので、風雲急を告げる展開にむずむず。これで5話たまったので書き下ろしを加えて来春くらいに全部読めるといいなあ。
先週に引き続いて、ハイバイを観る。今日も2本立て。ヒッキーのは毎年やっているそうだけど観るの初めて。その名の通り引き籠もりの話なのだけど、自我炸裂とか自我崩壊の話はホントにうまい。観ていて同族嫌悪的な自己嫌悪に陥りそうになるほどにうまい。でも救いがあるというか優しさがある、んだけど、きっとそういうことはどうでも良いというか、そういうことを含めてちゃんと笑いに昇華できているのが好きなんだろうな。続いてのフランスは、ハイバイ的解釈の快快(ファイファイと読む)といった趣で、らしくない踊りと歌とドローイングという肉感的な演劇。なにより篠田さん(快快)がとても良かった。素晴らしい。そしてそんな篠田さんがヒッキーの妹役をやり、岩井さんが落語の森役をやる、偽キャスト追加公演が来週1回だけ開催されるので、これはもう観に行かない訳にはいかないのです。稽古なしでやるそうなので、明らかなる番外編であり、ふたりの破壊力を堪能する芝居となるでしょう。
ということで、ハイバイは都合3回観る訳だけれど、1回2,000円なので、3回観ても6,000円しか掛からない(実際にはセット券を使っているので5,500円)。これでも映画に比べたら割高だし、高いという感覚を持つ人も多いと思うけれど、生で目の前で繰り広げられる商品の価格としては十分に安いと僕は思う。それに比べると例えばナイロン100℃の最近の公演は6,800円程度。つまりハイバイ3回分では1回すらも観られない。では、ナイロンがハイバイの3倍面白いかというとそうとも限らない(このあたりは人によると思うけど)。じゃあつまり結論としてハイバイ観る方が得だよね、ということを言いたい訳でもなく、ナイロンの芝居を作るためには6,800円必要であるし、ナイロンの2,000円の芝居が観たい訳でもない。ある程度以上の作り込みを行うためには、それまで以上のコストが掛かり、投資効率は落ちていく。ただ、それでもあらゆる角度で作品を煮詰めていく、その価値を求める需要があり、それを感じる場合に、ある人は作り、ある人は観に行くだけのこと。そして同時にいちばん表現したいことだけを作り込んでいくことでコストを抑えて良いものを作ることもまた可能だと思う。何を持って品質が高いとするかは人それぞれであり、各人にとっての品質という基準が1つのもの差しである必要もない。
ハイバイ「オムニ出す」 (リトルモア地下)
<いつもの> ヒッキー・カンクーントルネード
作・演出:岩井秀人
出演:岩井秀人、坂口辰平、端田新菜、平原テツ、川田希
<フランス> コンビニュ または謝罪について
作・演出:岩井秀人
出演:永井若菜、坂口辰平、篠田千明、師岡広明
すごいすごいとは聞いていたけど、カジヒデキの新譜が渋谷方面一直線過ぎて笑った。タイトルがロリポップで、ジャケットが北欧な女の子で、音楽は80年代だなんて趣味の悪い冗談のようなホントの話。「1000 Heartbeats」なんて、堀江博久、真城めぐみ、Yoshié、小山田圭吾とかいま何年? みたいなことになってて、ああカジくんしかできないよね、これは、だなんて思ったりして、いいのこれ? いいんじゃない? いいよね、そういう感じで進む、冗談じゃなくて真面目な2008年のアルバム。
乙一の「死にぞこないの青」と島田荘司の「UFO大通り」を読了。乙一のは全体としては今ひとつ消化不良というか煮え切らない感じながら、読むと嫌な気分になり、鬱々としてイライラとして結果止められなくなるという、乙一らしい多湿な小説。UFOの方は御手洗潔もの。御手洗が舞台を海外に移して以降は、何となく疎遠になっていたので久々の再会。懐かしい横浜時代の中編2作はどちらも良作。氏の長編にありがちな大いなる寄り道がなく、やはり石岡くんは必要だよなあ、などと懐かしさを噛みしめながら読み切る。懐古趣味で何が悪いのかね。そして今は「森博嗣の道具箱」を読んでいるところ。
原宿にてハイバイのソワレを観る。めずらしく初日公演。短編の2本立てで、どちらもゲラゲラ笑う。ハイバイは、全体を通したストーリーより、ちょっとした部分のディティールを過剰に追求してくるのだけど、今回もとても面白い。過剰と言っても無理矢理ごり押ししてくるというより、全体としてそろいも揃ってひ弱軟弱系であり、爆笑大笑いというより失笑クスリ笑い系である(でも今日はいつもよりよく笑ったなあ)。なんにせよ、こんなに「間」が心地いい劇団ってほかにあまりないと思う。「間」でドキッとしてニヤニヤしてしまう。あと何度も書いているけど、岩井秀人は面白い。演出力や演技力がどうのというより、作り出す空気が最高に面白い。
初日なのでアフタートーク、というかアフターアクトがあった。ふつう、アフタートークというものは本番とは区切られた俯瞰の世界になると思うのだけど、今日は本番と地続きな世界が広がっていた。とても盛り上がる。おそるべし。アフタートークは水曜日まで。急げ原宿に。
ところで、リトルモア地下のあたりは原宿の喧騒から離れて静かで夜は暗くて、駅から少し距離はあるのだけど、往きも帰りも歩くのが楽しい。
ハイバイ「オムニ出す」 (リトルモア地下)
<SF> 輪廻TM
作:前川知大
演出:岩井秀人
出演:岩井秀人、金子岳憲、師岡広明
<落語> 男の旅 -なつこ編-
作・演出:岩井秀人
出演:坂口辰平、高橋周平、夏目慎也、師岡広明、石澤彩美
Wii Musicが思いの外、楽しい。僕は楽器はほとんど演奏できないけれど、それを差し引いても、演奏がきっちりとエミュレートされている訳ではない。むしろかなりアバウト。でも確実に楽しい。楽器が弾けて楽しい、というより、音で遊んでいる感じがとてもいい。きっちりと作り込まれていて、飽きさせないというか、難易度で取り残されない工夫がそこかしこに仕組まれている。さすが宮本作品。みんなでやるととても楽しくてニコニコこしてしまうので、そういう感じになりたい人にはおすすめ。みんなでニコニコ。
先日のクラブハイツ公演で先行予約した「記憶喪失学」が届いたので、ぐるぐるとロンドの如く聴く。うっとりとしてざわざわとする。とても良いアルバム、だと思う。
ずっと前に買っておいて、いつ観ようかいつ観ようかと楽しみを先延ばしにしつつ、3時間は長いからねと先送りにしていた「消失」のDVD。「シャープさんフラットさん」の余勢を駆って、今が頃合いか!と本編167分とメイキング57分とオーディオコメンタリー167分を一気に観て死ぬ。
大所帯の「シャープさんフラットさん」からがらりと変わって6人の役者による贅沢な舞台。前評判がとても良くて、だから安心して観ていたというのもあるのだけれど、純粋でまっすぐな6人の登場人物たちがとても愛おしくて、とてもぐっと来て困った。なにより寝るタイミングを逸して困った。コメンタリーの馬鹿馬鹿しい話が、なおさらに愛おしさを際立たせてきらきらする。誤用な気がするけど、まあとにかく良かった。きらきら良かった。あー劇場で観たかったなあ。コメンタリーで、いつか再演したいと言っていた言葉を信じて待ちたい。
ところで、「シャープさんフラットさん」のパンフレットは、15周年のアニバーサリーということで豪華2冊組。ずっしりと読み応えがあるが、一部ネタバレが含まれているので、観劇後の精読をおすすめする。なお、廣川さんのカットがいやに格好良くて笑える。笑わすものではない、ということも含めて良いカット。
ナイロン100℃「消失」 (2004年)
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:犬山イヌコ、みのすけ、三宅弘城、大倉孝二、松永玲子/八嶋智人